コラム
シニア目線でデザイン思考
ご無沙汰しております。最近、6pt以下の文字が見づらくて仕方がない制作の高齢代表S木です。文字校正をしんどく思うたびに、加齢によって見え方は変化していくのだなーと身をもって体感しています。
このような実感から、シニアの「見え方」について調べ、「シニア向けのデザイン」についてまとめてみました。
シニアの見え方
老眼が進むと、小さな文字は潰れて見えて読めない、もしくは読み間違いをしやすくなります。さらに、60代の70%以上(70代は80%以上、80代だとほぼ100%)の方が発症する白内障になり水晶体が濁ると、色覚が低下し、黄色・灰色が見づらくなったり、明度のちがいがはっきりとわからなくなったりします。
シニアをターゲットとした広告には以上のような視力のハンデがあるということを意識した上で、見やすい=認識しやすいデザインをこころがける必要があります。
それでは、シニア向けのデザインを作成する際のポイントを紹介します。
見やすいテキスト
【文字サイズ】
・通常より1.5倍ほど大きくする
・老眼鏡をかけなくても読めるフォントサイズは12~14pt以上
【書体】
●ゴシック体:視認性が高い
・線の太さが均一で、はねやはらいが無いシンプルな形のゴシック体は読みやすくシニア向けの書体としておすすめ
・小さい文字で使用する場合でもゴシック体だと読みやすい
●明朝体:可読性が高い
・長文を読ませる場合は、線の強弱がありはねやはらいがあることで文字の形を判別しやすい明朝体がおすすめ
【行間】
・文字サイズの1.5~1.75倍空けると一つの行が追いやすくなり、行を見失わず文章が読める
【字間】
・ゆとりをもって空け、文字を意味の塊として読めるようにする
・意味が変るところで改行すると読解の手助けとなる
【装飾】
・可読性が失われるので過剰な装飾は避ける
見やすい色彩設計
【コントラストは強く】
・文字と背景色とのコントラストが低かったり、色相が近かったりすると見えにくいので避ける
・写真の背景に濃い色を敷くと写真が見えにくくなるので、白または明度の高い色を敷く
・文字に灰色は使わない(キャプション、注意事項などはスミ文字だと視認性が高まる)
【装飾について】
・理解の補助にならない過剰な装飾は不要
・シンプルなデザインで読みやすさを重視する
まとめ
内閣府によると、65歳以上人口の割合は28.9%(令和2年度)、令和7年には30%を超えます。人口の割合と比例し、今後ますます広告のターゲットとして重要な層になっていくのは明白です。
シニア世代の身体的な能力に応じ、情報を受け取る側がストレスを感じない、情報の誤認により損をしないデザインの設計・改善・提供は、デザイナーにとって必要不可欠なスキルとなっていくことでしょう。
広告に携わる者として、ターゲットに沿ったデザインを考えることの難しさとターゲットの視点に立って思考する必要性を改めて考えさせられました。