コラム
映えよりリアル! 広告代理店が考える「BeReal.」の魅力

SNSと聞くと、多くの人が思い浮かべるのはInstagramのおしゃれな写真や、TikTokのテンポのいい楽しげな動画かもしれません。
でも、そんな“演出された世界”に少し疲れた人たちの間で、ひそかに支持を集めているSNSがあるのをご存知ですか?それが「BeReal.(ビーリアル)」です。
「もう1年以上前から使ってるよ!」というトレンド通な方も、「名前は聞いたことあるけど…」というSNSはちょっと苦手な方も、その魅力を一緒にのぞいてみましょう。
BeReal.ってどんなSNS?
1日1回、不定期に届く通知から2分以内に写真を撮って投稿するというルール。
特徴は次の3つ。
・加工なし、フィルターなし
・スマホの前後カメラで同時撮影(自分と周囲の両方が写る)
・やり直し基本なし
つまり、映える準備も、完璧なアングルも、加工もありません。「今この瞬間の自分と周り」を、ありのまま切り取るのがBeReal.のルールです。
「もっとオシャレに撮らなきゃ」「いい角度探さなきゃ」と構えるInstagramやTikTokに対して、BeRealなら映えてなくても仕方ない。部屋が散らかってても、すっぴんで部屋着姿でも、「今撮って!」と通知が来るから、むしろその“言い訳”が成り立つ気軽さがBeReal.の面白さと感じました。

BeReal.誕生の背景
BeReal.は2020年にフランスで誕生。Instagramの「映え文化」へのアンチテーゼとして作られ、アメリカやヨーロッパでZ世代を中心に急速にユーザー数を伸ばしました。
特に2022年には米国のApp Storeで無料アプリランキング1位を獲得するなど大ブレイク。2023年以降は日本でも徐々に認知が広がり、Z世代を中心に利用者が増えています。
コロナ禍で人との距離が広がる中、その孤独感から「みんな今なにしてるんだろう?」というリアルタイムで繋がりたい欲求が高まりました。さらに、家での生活や地味な日常をどうシェアするかという空気も強まり、これがBeReal.ブレイクのきっかけになったようです。
他SNSとの違い
SNS | 特徴 | ユーザー心理 | ブランドの価値 |
---|---|---|---|
ビジュアル重視、美化・演出しやすい | 見せたい自分を作る | 世界観や理想像の構築 | |
TikTok | 短尺動画・エンタメ性・拡散力 | 面白いをシェアしたい | バズ・認知拡大 |
X | テキスト中心、速報性 | 思考や情報の瞬間共有 | 情報発信・トレンド参加 |
BeReal. | 加工なし、リアルタイム、限定性 | “今”を共有、親近感 | 信頼感・距離感の近さ |
見せたい自分や面白いもの、自分の思考などをシェアしていくInstagramやTikTok、Xに対し、「今この瞬間」飾らないありのままを共有することで、親近感を生み出すのがBeReal.。
Instagram=盛る、 TikTok=バズる、 X=つぶやく、 BeReal.=ありのまま
広告代理店的に見るBeReal.の面白さ
Z世代に直接アプローチできる新しいSNSとしてBeReal.を注目している企業も多いのではないでしょうか。
まだ広告市場としては発展途上ですが、逆に言えば“誰よりも先に試せるチャンス”とも言えます。
1. 「素の姿」が信頼を生む
加工や撮り直しができないため、企業やブランドの“素”がそのまま出ます。飾らない姿を見せることで、ユーザーに透明性や信頼感を自然に伝えられるのは、BeReal.ならではの強み。
2. 「今しかない瞬間」が熱量を生む
通知が届いてから2分以内に投稿するルールは、まさに一瞬のイベント。ユーザーがリアルタイムで参加している感覚を味わえます。思わず参加したくなるワクワク感を演出できます。
3. 他SNSでは埋もれる日常も価値になる
Instagramでは「映えない=地味」と思われるような、社員の雑談風景やイベントの裏側も、BeReal.では魅力的なコンテンツに。日常のリアルを見せるだけで、ブランドの親近感や共感を自然に育めます。
企業での活用事例
●Netflix(日本)
学園ドラマ『恋愛バトルロワイヤル』のプロモーションで活用。前面はメインビジュアル、背面はドラマシーンで構成され、若年層へ強いリーチを実現。
●ケンタッキーフライドチキン
友達同士がケンタッキーを楽しむ自然なシーンを切り取り、BeReal.の「リアル感」を活かしたクリエイティブを展開。
●Qoo10
日本のオンラインモールとして初の公式アカウントを開設。社員の日常や倉庫の様子、クイズ企画など、フォロワー参加型の投稿を実施。
これらの事例からわかるのは、BeReal.の最大の魅力は「広告っぽさゼロで企業の素を見せられる」こと。ユーザーとの距離がぐっと縮まり、リアルな瞬間がそのまま共感と信頼につながるのではないでしょうか?
事例をみつけることができなかったのですが、社員の日常や職場の雰囲気をリアルに伝える「採用広報」などに活用できそうです。
まとめ BeReal.活用のヒント
今のところBeReal.は、広告をゴリゴリ配信する場というより、ブランドの“素の瞬間”を見せるのに向いているSNS。
InstagramやTikTokが「舞台」なら、BeReal.は「楽屋裏」。
この“楽屋裏感”をマーケティングにどう取り入れるかが、これからのSNS活用のカギになりそうです。
まだまだ発展途中のサービスなので、「どう進化するか」「どんな企業活用が出てくるか」は未知数。
だからこそ、今後もBeReal.の動きは要チェック。
引き続きいろんな事例を追いながら、学んでいきたいと思います。