コラム
今さら聞けない景品表示法(景表法)とは?

キャンペーンやイベントなどで広告や景品(プレゼント)を扱う際には法律による制限があります。
運用・監視は 消費者庁 が中心となって行っています。違反があった場合は、措置命令(改善命令)や公表、悪質な場合は罰則(刑事罰)もありますので、広告やプレゼント企画などを行う際は景品表示法のルールを理解しておく必要があります。
景品表示法とは

「景品表示法」(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)とは、消費者を保護するために、事業者が提供する景品や商品の表示(広告など)に関して、不当なものを規制する日本の法律です。主に以下の2つの側面から、消費者が誤解したり、著しく有利だと誤認したりすることを防ぐ目的があります。
主な内容

1. 不当表示の規制
事業者が商品やサービスを宣伝する際、実際よりも著しく優良・有利であると消費者に誤認させる表示は禁止されています。
【代表的な不当表示の例】
・優良誤認表示:実際より品質や性能が優れているように見せる(例:耐久性が高いと嘘の表示)
・有利誤認表示:価格やサービス条件が実際よりお得に見えるように表示(例:通常価格と偽って高めの価格を表示し、値引きしているように見せる)
・その他誤認されるおそれのある表示:事実と異なる産地表示や誇大広告など

2. 過大な景品の規制
消費者に対して、過大な景品や賞品を提供することで、過度に購買意欲をあおることを防ぐためのルールです。
【主な景品規制】
・一般懸賞(くじなど):販売を目的とした懸賞において、景品の最高額や総額に上限が設けられています。
例)商品の価格が5000円未満の場合、景品の最高額はその価格の20倍か10万円のどちらか低い方
・共同懸賞:複数の業者が共同で行う懸賞(商店街の福引など)
・総付景品(購入者全員に付ける景品):一定金額を超える商品には、景品の上限が設定されています。
例)取引価格が1,000円未満 → 景品上限は 200円まで
取引価格が1,000円以上 → 上限は 取引価格の20%以内
業種別の具体例

小売業(スーパー・家電・アパレルなど)
【不当表示の例】
・「今だけ○○%OFF」と表示しつつ、常にその価格で販売していた(=有利誤認)
・「他店より安い!」と謳っているが、実際は他店より高かった(=有利誤認)
・実際には使用できないサービスを「無料プレゼント」と記載(=優良誤認)
【景品類の例】
・1,000円以上購入で「先着100名に豪華景品」として5,000円相当の商品を配布(取引価格に比べて景品が高額 → 過大景品に該当する可能性あり)。
不動産業
【不当表示の例】
・「駅徒歩5分」と表示しているが、実際は10分以上かかる(=優良誤認)
・建物の構造や築年数をごまかして記載(=優良誤認)
・「限定1戸」としながら、実際は複数戸が対象(=有利誤認)
自動車販売業
【不当表示の例】
・「燃費30km/L」としていたが、測定条件が特殊で、一般の使用では実現不可能(=優良誤認)
・「今だけ金利0%」→実は別の諸費用で金利分を上乗せしていた(=有利誤認)
宿泊・観光業
【不当表示の例】
・「通常価格1泊3万円 → 特別価格1万5千円」と表示しているが、3万円での販売実績がない(=有利誤認)
・絶景・高級料理など、実際よりも誇張した内容の写真を使う(=優良誤認)
飲食業
【不当表示の例】
・実際には冷凍品を使用しているのに「手作り」「産地直送」などの表示(=優良誤認)
・食べ放題で「高級牛使用」と記載しているが、実際は違う食材(=優良誤認)
化粧品・健康食品・美容業
【不当表示の例】
・「このクリームでシワが消える」と科学的根拠のない効能をうたう(=優良誤認)
・「痩せるサプリメント」としてダイエット効果を誇張(=薬機法違反も重なる場合あり)
ECサイト・ネット通販
【不当表示の例】
・「残り1点」「あと○人がカートに入れています」など、虚偽の販売状況(=有利誤認)
・偽のレビューや評価を掲載して、信頼性を偽る(=優良誤認)
携帯キャリア・通信サービス
【不当表示の例】
・「実質0円」と宣伝しながら、実際は分割払い+割引前提(=有利誤認)
・速度やエリアの表示が誇張されていて、実際の使用状況と違う(=優良誤認)
まとめ
景品表示法は、消費者の誤認を防ぎ、公正な市場競争を維持するために極めて重要な法律です。業種ごとの具体例に見られるように、広告表示やキャンペーン企画においては、事実に基づいた正確な情報発信と、法令で定められた景品提供の範囲内での運用が求められます。
参考)消費者庁ウェブサイト「景品表示法」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling