コラム
なぜ“赤いチラシ”は特売感が出る?色彩心理のヒミツ

「特売」や「セール」と聞くと、あなたの頭にまず浮かぶ色は何でしょうか?
——おそらく、多くの人が 赤 です。
スーパーのチラシでも、家電量販店でも、ネット広告でも、
“勝負どころ”の価格や見出しには必ずといっていいほど 赤 が使われます。
実はこれ、ただ目立つからというだけではありません。
赤には、人間の脳が本能的に反応してしまう“色の力” があるのです。
今回は特売やセールのチラシになぜ「赤」が使われるのか紹介していこうと思います。
赤は「注意を引く色」ではなく「注意を奪う色」
赤は、光の中でも波長が長く、視界の中で強く届きやすい色です。私たちが日常生活で「色」として認識しているものは、光の波長によるものです。その中でも、人間の目が感知できる範囲の光を可視光線スペクトルと呼びます。赤色は可視光線スペクトルの中で最も波長が長い色であり、その特製のおかげで遠くまで届きやすく、視覚的に目立ちやすいという特徴があります。そのため人間の視野に入ると、
他の色よりも優先的に脳が処理しようとする特徴があります。

つまり赤はついつい「見てしまう色」。
スーパーで大量の商品が並ぶ中でも、赤字で書かれた「本日限り」が目に飛び込んできてしまうのはこのためです。
赤は“緊急性”と“行動”を促す色
赤は「火」「血」「危険」「警告」といった原始時代からの経験に紐づいており、緊急性・行動性を高める色として認識されます。
広告で言うと
- 今すぐ買わないと!
- 期間限定っぽい!
- 今日だけお得なの?
といった感情を自然に引き出します。まさに“特売”と相性が抜群なのです。
実際の現場で“赤が強い”と言われる理由

広告・チラシの制作現場では、赤は次のような場面で最強の力を発揮します。
- 商品点数が多いチラシ
- 価格競争が激しい売り場
- シニア向け(視認性が高い)
- 即決させたい販売促進
- 「今日」「限定」「特価」などの訴求
特にスーパーのチラシは、赤・黄色(興奮色)の組み合わせが王道で、長年データを積み重ねて「反応が出る配色」として確立しています。
とはいえ“赤だらけ”は逆効果にもなる

赤は強烈な色なので、使いすぎると
- 疲れる
- 読みにくい
- 重要情報が埋もれる
という逆効果も。赤は「ここだけ見てほしい」に使うことで最大の効果を発揮します。
プロのデザイナーは“赤を使わない部分”まで計算してデザインしているのです。
赤は“売りたい時”の最強の味方
赤は
- 注意を奪い
- 行動を促し
- 決断を後押しする
という、特売チラシのために生まれたような色です。ただし使い方にはバランスが必要。「どこに赤を置くか」で売上が変わるからです。
もしあなたの会社のチラシや広告で「反応が弱い…」と感じることがあれば、実は“デザインの色使い”に課題があるかもしれません。
色の心理を味方につけるだけで、広告はもっと売れるようになります。

年末商戦は、一年で最も「赤」が活躍する時期です。
どれも“赤が行動を促す色”であることをよく知る販促の知恵から生まれています。
もしこのタイミングで広告戦略を見直すなら、色彩心理をふまえたデザインが他社との差別化に大きく役立ちます。
年明けのスタートダッシュに向けて、ぜひご活用ください。