株式会社プランニングA

コラム

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2025.05.19

「著作権ってどこまでOK?」人気アニメ風スタッフ紹介がNGになる理由

商品チラシやSNS、採用パンフレットのスタッフ紹介など……ちょっとユーモアやトレンドを取り入れて、目を引くデザインにしたい。
そんな思いで「人気アニメ風のタッチ」でスタッフを紹介したら、大反響。
しかし――そのデザイン、実は著作権侵害のリスクがあるかもしれません。

本記事では、広告・広報・制作に関わる担当者が知っておきたい著作権の基本と、NGになりやすいケースをわかりやすく解説します。

著作権とは? 知っておきたい基本知識

著作権とは、絵・写真・音楽・映像・文章など「創作されたもの」に自動的に発生する権利です。
著作者の許可なしに使用・改変・転載することは原則NG。「有名じゃないから使ってもいい」は大きな誤解です。プロ・アマ問わず、誰かが作った画像や文章、デザインには著作権があり、無断で利用すれば「著作権侵害」に該当することがあります。

「ワンピース風のキャラでスタッフ紹介」ってOK?NG?

「俺は●●王になる!」のようなキャッチコピー。麦わら帽子、海賊風イラストを使って、会社のスタッフ紹介をしたら面白そう!
でも、こうした表現は本当に“パロディ”として許されるのでしょうか?
答えは…「NG」である可能性が高いです。

たとえキャラクター名を使わなくても、以下のような場合は著作権やパブリシティ権の侵害にあたるおそれがあります。

NG例

  • ワンピースのキャラに酷似したイラストでスタッフ紹介
  • 「●●王になる!」風のコピー
  • 原作のポーズや構図を真似て集合写真風にデザイン
 

これらは、キャラクターの「特有のセリフ」や「ビジュアル要素」を使っているため、著作権侵害とみなされる可能性があります。
さらに、人気キャラクターにはパブリシティ権(=無断でイメージを使わせない権利)もあるため、企業のPRや販促に無断で使うのは極めてリスクが高くなります。

よくある誤解が「これはパロディだから問題ないですよね?」という考え方。
しかし、日本の著作権法では、パロディは例外として認められるわけではありません。
たとえギャグ調でも、「商用利用」や「広告・広報目的」で使う場合は、著作権侵害のリスクは非常に高くなります。

では、どうすればいいのか?

「海賊風の衣装」というアイデア自体は問題ありませんが、ビジュアルやセリフを含めて完全にオリジナルのキャラクターを制作する必要があります。
セリフもたとえば「営業という航海を、仲間とともに進んでいきます!」など、海賊や冒険のテーマを取り入れた独自のストーリーにすると良いでしょう。

あくまで「元ネタにインスパイアされた世界観」にとどめることが大切です。
また、社内資料や限定公開など、プライベートな範囲であっても、SNSなどに流出した場合は“公表”とみなされる可能性があります。外部に出る可能性がある場合は、特に慎重な対応が必要です。

著作権の保護期間とは?

著作権は保護期間があります。一定の期間が過ぎると著作権は消滅し、その作品は「パブリックドメイン(公有)作品」となり、誰でも自由に利用できるようになります。日本では、著作権の保護期間は「著作者の死後70年」が原則です。
 

著作物の種類保護期間の目安
小説・絵画・音楽など著作者の死後70年
無名・変名の著作物
(例:匿名の詩など)
公表後70年
法人著作物
(例:会社名義の広告コピー)
公表後70年
映画公表後70年(製作後70年以内に未公表なら、製作後70年)

※ 条件によって変わるケースもあるので注意!

活用できる! 保護期間が切れている有名な例

以下は、すでに著作権の保護期間が終了しており、自由に使用可能(パブリックドメイン)となっている代表的な作品です。

作品・作者解説
葛飾北斎の
『富嶽三十六景』
北斎は1849年没 → 保護期間はすでに終了
ベートーヴェンの楽譜1827年没 → 楽譜自体は著作権切れ。
ただし演奏や編曲には新たな権利が生じることも
モーツァルト、シェイクスピア、
ミケランジェロなど
歴史的作家の著作物はほぼすべてパブリックドメイン

「森のクマさん」のメロディは自由に使える?

♪ある日、森のなか、クマさんに、出会った〜♪
誰もが一度は耳にしたことのある『森のクマさん』。実はこの曲、元はアメリカの民謡で、著作権保護期間が終了しており、メロディは自由に使える(パブリックドメイン)ってご存じでしたか?
ただし、日本語の歌詞には著作権があるので、無断で使用・アレンジするのはNGです。
メロディだけを活かして、商品の特徴やサービス内容を伝えるオリジナルの歌詞にすれば、耳に残るインパクト抜群のCMを作れます!

注意! 保護期間が切れていてもNGな場合も

たとえば、ロダンの代表作「考える人」は、作者ロダンが1917年に亡くなっているため、著作権の保護期間はすでに終了しており、作品自体はパブリックドメイン(自由利用可能)となっています。
しかし、注意するべき点があります。
撮影された「考える人」の画像を使用する場合、撮影者などの著作権が発生している場合があります。また、現代のアーティストによるパロディ作品やアレンジバージョンは、別途新たな著作権の対象となります。

つまり、「元の作品は自由に使える=何でも使っていい」ではありません。二次的な創作物や記録物には別の著作権があることを忘れずに!

よくある誤解! 著作権まわりのQ&A

著作権は“知っているつもり”でも、思わぬ落とし穴があるもの。ここでは、現場でよくある誤解や質問をピックアップしてわかりやすく解説します。
「うっかり違反」にならないためにも、ぜひチェックしてみてください!

 

Q. “引用”と書いておけば、他人の画像や文章を使ってもいい?
A. 著作物を「引用」として使うには、以下のような厳格な条件があります。
  ・主従関係があること/引用はあくまで補助的な役割で、自分の文章が主でなければなりません。
  ・出典を明記していること/出典(著者名・出典元のタイトルやURLなど)をきちんと記載する必要があります。
  ・改変していないこと/引用部分は、勝手に編集・加工してはいけません。
  ・引用の必然性があること/自分の主張・解説のために引用が必要不可欠であること

 

Q. 自分で描いたキャラクターなら、似ててもセーフでしょ?
A. いいえ。“似せて描いた”場合はアウトになることがあります。
たとえ自分の手で描いても、原作に似せた構図・衣装・配色などで見る人が本物を連想するような表現は「翻案」扱いとなり、著作権侵害に該当する場合があります。

 

Q. AIで作った画像なら、著作権フリーで何でも使える?
A. 近年の生成AIツールでは、誰でも簡単にイラストや写真風の画像を作れるようになりました。多くのAI画像生成ツールでは、生成された画像自体に著作権は発生しない(パブリックドメイン扱い)とされています。
ただし、それはツールの利用規約によって左右され、「商用利用OK」「再配布禁止」「クレジット表記が必要」など、サービスごとの条件が存在します。

 例:
  Adobe Firefly → 商用利用OK。(著作権保護付き)
  Midjourney → 有料プランで商用利用OK。無料だとNG
  OpenAI(DALL·E)→ 商用利用OK。ただし公序良俗・第三者の権利侵害はNG。

たとえ「商用利用OKで、AIが作った」としても、
既存キャラに似すぎている/有名ブランドのロゴや商品を連想させる/著名な画家の作風を模倣している
などの場合は、著作権侵害や商標権侵害のリスクが発生するので注意が必要です。

 

Q. 制作会社に頼んで作ってもらったデザイン、勝手に使っても問題ないでしょ?
A. 一部はNGの可能性があります。依頼して作ってもらった制作物でも、著作権の扱いは契約次第です。「著作権譲渡」や「利用範囲」について明確に契約・取り決めをしていない場合、他の媒体での再使用や改変が制限されることもあります。

まとめ

SNSでの拡散や炎上リスクがある今、「バレなきゃOK」「知らなかった」は通用しない時代です。
表現のセンスを活かすのはクリエイターの醍醐味。そのひらめきが誰かの権利を侵さないよう、法律やリスクを理解したうえで、“責任ある遊び心”を持っていたいものです。
著作権の基本をちゃんと押さえて、自分もクライアントもトラブルから守れるクリエイターでいたいですね。

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