コラム
WEBエンジニアと一緒に学ぶマーケティング(環境分析とSTP分析)
阿部です。私は普段はエンジニアをしており、コードを追いかけてばかりいますが、
良いWEBサービスとは何か、人に使ってもらえるWEBサービスとは何かを考えるうちにマーケティングを勉強しなければ良いサービスは作れないのではないかと思い改めてマーケティングを勉強してみることにしました。
マーケティングとは
マーケティングとは「売れる仕組みづくり」のことを言います。
では、売れる仕組みづくりとは何でしょう?
それは顧客にニーズがある商品を作り、顧客へ届け、利益を上げることです。
基本的過ぎて当たり前のことのようなのですが、この基本を突き詰めるか突き詰めないかで大きな違いが出てきます。
WEBサービスの場合、ユーザーに認知されない、リピートアクセスがない、離脱率が高い、コンバージョンが入らないなどがあります。
マーケティングを行わず商品開発や宣伝を行うことは「勘と経験」で戦うことになります。
「勘と経験」を否定はしませんが、分析やデータに基づいた方が勝率は高くなります。
稀にマーケティングが市場調査や広告宣伝と同義語のように扱われますが、それだけではありません。
ドラッカーによるとマーケティングの定義は「販売を不要にする」こととあります。
販売を不要にするとは商品が自ずと売れる仕組みを言います。
旧来のマーケティングは企業側から顧客に商品を売り込むアウトバウンド型が主流でしたが、
現在はSNSやWEB検索などで顧客が自ら行動を起こし、自社のサイトに誘い込むインバウンド型が主流になってきており、
今後ますます加速していくと、ドラッカーのいうマーケティングが完成するかもしれません。
マーケティングを成功させるためのステップ
商品を売るための施策には段階的なステップが必要です。
ステップ1. 顧客(市場)における自社(商品)の立ち位置を分析する環境分析
ステップ2. どのような顧客にどのようなニーズがあるか分析しターゲットを決める基本戦略であるSTP分析
ステップ3. ターゲットにどのようにアプローチするかを決める具体的施策であるマーケティングミックス
ステップ4. 目標の設定と効果測定です。
マーケティングは100年近く歴史があるので商品を売るための法則が体系化されており、フレームワーク(思考をまとめるための枠組み)や分析方法がいくつか出てきます。
そのフレームワークや分析方法を中心に何回かに分けて勉強しながら記事を書いていきます。
環境分析とは
サービスを行っていく上で自社がどのような環境に置かれているかを分析します。
大きくは自社の意思でコントロールできない外部環境と自社の意思でコントロールできる内部環境に別れます。
5つの競争要因(ファイブフォース分析)
外部環境分析である5つの競争要因は業界において、サービスを継続していく上での脅威を分析します。
新規参入の脅威 自社商品が他社にすぐ真似をされるような商品だと、参入障壁が低くなりライバルが増えます。
業者間の敵対関係 競争業者が多く同じような商品を売っていると差別化が難しくなります。
代替商品・サービスの脅威 レコードからCDに、CDからスマホに、など代替商品により需要が変化します。
買い手の交渉力 「まとめ買いするから安くしてほしい」などの交渉により買い手側が優位になります。この場合、一般的に収益率は上がりません。
売り手の交渉力 ここでいう売り手とはサプライヤーのことで、例えば原材料の高騰などで商品価格を上げざろう得なくなり、顧客のニーズを満たせなくなります。
PEST分析
サービスは、世の中の変化で起こる外部環境要因であるマクロ環境に大きく影響を受けます。 そのようなマクロ環境をPolitics(政治・法律的な要因)、Economy(経済的な要因)、Society(社会・文化・ライフスタイル的な要因)、Technology(技術的な要因)から分析し、影響を受けてもサービスが持続可能か判断します。
政治・法律的な要因 法律や規制などが自社商品に影響を与える要因です。(例)第3のビールが10月から増税されます。
経済的な要因 景気や物価の変化など経済的な要因で起こる変化です。(例)新型コロナで市場が縮小している。
社会・文化・ライフスタイル的な要因 流行やライフスタイルの変化により顧客の商品に対しての興味が変化することです。(例)タピオカブームは一時的なものだったのでしょうか。
技術的な要因 新しい技術により既存の商品が不要になる変化です。(例)スマホのカメラ高機能化しデジカメを使うことが減りました。
3C分析
商品を売る上で市場での顧客(Consumer)・競合(Competitor)・自社(Company)を分析することで、市場で勝算があるか分析します。
顧客・市場(Consumer) 商品を売る上で市場規模は大きいのか成長性はあるのかを分析します。
競合(Competitor) その市場において競合のシェア率や強みを分析し、自社商品の勝算を分析します。
自社(Company) 競合他社に対しての自社の強み・弱みを分析します。
SWOT分析
SWOT分析はPEST分析、3C分析で得られた結果を「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」に当てはめ明確にします。
明確にした後、クロスさせてみます。「強み✕機会」「弱み✕機会」「強み✕脅威」「弱み✕脅威」です。
「強み✕機会」 自社の強みと機会を最大限に活かした戦略です。
「弱み✕機会」 弱みが他社から見れば強みとなる場合があります。弱みを強みに変えられないか考えます。
「強み✕脅威」 脅威があることを想定した上で、脅威を機会に変化させる方法を考えます。
「弱み✕脅威」 最悪の結果を回避するための施策を考えます。
以上の環境分析を行うことで自社の置かれている事実を把握することができます。
例えばマスクの供給が整ってきているのに、大規模な工場でマスク生産に着手してしまうなどです。
もちろん色々な状況があるのでマスク生産がいけないわけではありません。
STP分析とは(基本戦略)
STP分析はマーケティングを行うための基本的な戦略を立てるために行います。
セグメンテーション(市場細分化(Segmentation))、ターゲティング(狙う市場の決定(Targeting))、ポジショニング(自社の立ち位置の明確化(Positioning))に分けられます。
セグメンテーション
セグメンテーションとは市場の細分化と呼ばれ、地理的変数、人口統計変数、サイコグラフィック変数、行動上の変数に分けられます。
商品を売る顧客をターゲティングする前にまず市場を細分化します。
細分化することで後に説明するターゲティングをどこに絞るかが明確化します。
地理的変数 地域によるニーズの違いを言います。(例)納豆の消費量が最も多いのは福島県で最も少ないのは和歌山県だそうです。
人口統計変数 年齢・性別・所得・学歴・職業に分けられます。(例)40代のプログラマと20代の新宿ホストの違いなど
サイコグラフィック変数 消費者のライフスタイル・性格・価値観に分けられます。(例)ゲームする人しない人の違いなど
行動上の変数 消費者の人の行動パターンで過去の行動履歴から分析されます。(例)来店やアクセス履歴など
ターゲティング
ターゲティングとはセグメントで市場(マーケット)を細分化した顧客に対し、市場規模や成長性、提供価値の可能性などを考慮し標的(ターゲット)を絞り市場を見極めることです。
これを間違えるとターゲットに伝わらない広告のクリエイティブを作成してしまうことになったり、広告費を無駄に消費してしまう結果になります。
ターゲティングの方法は3つに分けられます。
無差別型マーケティング セグメンテーションを無視し様々な市場に対し共通の製品を提供する戦略です。この戦略を行えるのは商品にもよりますし、資金力も潤沢でなければなりません。歯磨き粉などがそうでしょうか
差別型マーケティング 複数のセグメントに対して複数の製品を提供する戦略です。例えば服なら年代や料金に合わせて商品を変えています。
集中型マーケティング 少数のセグメントに対し商品を絞って提供します。市場は狭まりますが固定客がいれば収益は確保できるでしょう。ニッチ商品や高級ブランド商品が当てはまります。
ポジショニング
ターゲティングを行ってもすでに競合がいるかもしれません。競合に勝つためには自社商品を顧客に働きかける方策を考え、市場におけるポジションを決めます。
例えばビールであればキレ✕コク、苦味✕飲みやすさなど縦軸と横軸とからなる2次元の座標であるポジショニングマップを用いると他社における自社のポジションがわかりやすくなります。
またポジショニングの位置だけでなく、以下の条件が整っていることが勝率を上げるために必要です。
重要性 多くの顧客に重要であると感じてもらえる製品であること
独自性 他社にはない、独自の切り口の商品であること
優越性 競合ブランドに対し強味を持っていること
以上、マーケティングの法則を要約して記事にしましたが、
STP分析を提言したフィリップ・コトラーの名言に「学ぶことは一日で出来る。だが使いこなすことが出来るようになるには一生かかる」という名言があります。
突き詰めるには一生かかるとして、できれば先人の教えを学んで生きているうちに成果を出したいものです。
次回はマーケティングミックスについて勉強してみたいと思います。