コラム
面接官初心者でも実践できる! 応募者の本質を見抜く「面接手法」
面接が終わった後に振り返ってみると「いろいろな質問をしたはずなのに、聞いた内容が浅くて候補者の見極めに迷ってしまう」という経験はありませんか?
それは自分の聞きたいことに終始して、「想定質問」や「誘導質問」を多くしていたのかもしれません。
想定質問とは
候補者が事前に準備できる質問のこと。
たとえば、「自社の志望理由を聞かせてください」「入社したらどんなことをしたいですか」といった質問は「きっと聞かれるだろう」と想定できます。
面接には、自分を少しでもよく見せようと入念に準備をしてくる候補者が大半です。入念な準備をすること自体は高評価できるのですが、その半面、面接で見せる姿や言動は取り繕ったものになりがちで、候補者の本質的な部分は見えづらくなります。
誘導質問とは
企業側が期待している答えが相手に伝わってしまう質問のこと。
たとえば、「転勤は可能ですか」といった質問は、「転勤してほしい」という企業の期待が伝わってしまいます。入社したいと考えている候補者は、本心では転勤したくなくても「はい、可能です」と答えてしまうこともあります。その結果、内定を出した後に「やはり転勤できない」と内定を辞退されることも。
想定質問も誘導質問も、その意図があれば問題ありませんが、明確な意図がない場合には注意が必要です。また、Web面接の浸透によって便利になったものの、お互いの表情や雰囲気が伝わりづらく、採用ミスマッチの懸念も高まっています。
面接における課題として「候補者の本質の見極め」「面接官による評価のバラつき」があげられます。面接中の質問内容や対応が面接官の判断に委ねられ、面接官によって評価が分かれるケースが起こりやすいもの。
そこで今回は、面接官初心者でも実践できる! 候補者の本質を見抜く「STAR面接」についてご紹介します。
STAR面接のメリット
採用基準が不明確で、結果的に期待通りの採用ができなかったり、ミスマッチによる早期離職を軽減するのに役立つのが「STAR面接」です。
その方法は至ってシンプル。「あらかじめ自社の質問項目や評価基準を定め、マニュアルに沿って実施していく」というもの。
全ての候補者に対して、同じ質問を決まった順番で行うことで、短時間で効率的な面接ができ、面接官の主観が入りにくいというメリットがあります。
面接官による判断基準のズレも起こりにくく、面接経験が浅い方にも実践しやすい面接方法です。
実際のSTAR面接のやり方
STAR面接では、過去の行動を掘り下げる質問を投げかけていきます。
たとえば、「あなたがいた組織は、どのような目標を持っていましたか。」といった質問からスタートして、当時の状況(Situation)、その時に抱えていた課題(Task)、どのような行動(Action)をとったか、どのような成果(Result)が出たのか、順に掘り下げていきます。
S(Situation):当時の状況
まずは「過去に置かれていた状況」について質問します。行動を起こした際にいた会社・仕事の状況や背景について確認します。
T(Task):その時に抱えていた課題
困難に直面した時など、イレギュラーな状況での行動パターンや思考パターンなどの本質を深掘りする質問をします。
A(Action):どのような行動をとったか
課題に対して「何を考え、どのような行動をとったのか」を深掘りしていきます。実際の行動と、行動に至った思考プロセスを確認することで、課題解決力があるか、整合性はあるかを見極めることができます。
R(Result):どのような成果が出たのか
「行動の結果がもたらした影響」について質問します。課題を解決しただけでなく、結果をどのように受け止めているか、自身の成長や業務の改善に活かす素質を深掘りしていきます。
このように、S→T→A→Rの流れに沿って、思考プロセスや行動特性を探る質問を通して、人柄や価値観、自社との相性を見極めていきます。
見極めるための質問パターン
まずは、自社が求める人材はどういったスキル・能力・経験が必要なのかを洗い出し、「見極めたい資質」によって質問を準備しておくとよいでしょう。ここからは、採用基準として重視すべき項目「協調性」「主体性」を見極めるための質問パターンをご紹介します。
「協調性」を見極める質問
S
・チームでは、どんな役割を任されることが多いですか。
・過去の経験から物事に取り組むとき、一人とチーム、どちらが好きですか?
T
・そのチームの課題は何でしたか。
・チームで目標に取り組む際に、直面した課題を教えてください。
A
・課題を解決するためにチームに対して何か働きかけをしましたか。
・その困難を乗り越えるために、何を改善しましたか。
R
・今回の結果から、チームで仕事をする上での学びがあれば教えてください。
・今後もチームで仕事に取り組むとしたら、どのようなことに気を付けたいですか。
「主体性」を見極める質問
S
・チームでは、どんな役割を任されることが多いですか。
・達成が難しい高い目標に取り組んだことはありますか?
T
・自身の役割を果たす中で気付いた課題は何ですか。
・それを課題だと感じた理由を教えてください。
A
・課題を解決するために、自分で工夫したこと改善したことを教えてください。
・課題を解決するために、周囲に働きかけたことはありますか。
R
・課題を乗り越えて、何を学びましたか。
・今回の学びから、次の業務に活かせそうなことがあれば教えてください。
STAR面接を活用し、質問の項目や手順を標準化することによって、面接官初心者でも判断に和洋ことなく、効率的に面接を進めることができます。
しかし、STAR面接は面接手法の一つであって、実際の選考は他の方法も織り交ぜて多角的に行うほうがよいでしょう。
たとえば、相手が優秀な候補者だとわかった場合には、見極めの質問を早々に切り上げて、自社で働くメリットを伝えるなど、働く動機づけを行うほうが有意義です。
面接は相互評価の場
面接は企業が候補者を評価する一方、同じように候補者も企業を評価しています。
候補者は面接で得た情報や印象も考慮して、最終的に入社するかどうかを判断するため、「自社の魅力を候補者にアピールする」ということも面接官の役割といえます。
一方的に質問をするのではなく、アイスブレイクの時間などで安心感と信頼感を与えることが採用成功の秘訣となるでしょう。
本記事では、候補者の見極めの面接手法についてご紹介しました。
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